サヨクのプロジェクトマネージメント
政治信条とプロジェクトマネージメント
菅野の次のエントリーが面白かった。
noiehoie on tumblr • サヨクって本当にダメだなぁと思った件。
日本会議が、署名の収集と活用を行なっているのに、サヨクは署名を集めるがそれを活用しないという例を引き合いに、菅野さんの言いたいのは、プロジェクトを運用する能力の差を問題にしている。 日本会議の側が、プロジェクトを次のプロジェクトに、有機的に連動させている点、それを可能にするバックオフィイスの事務能力がある点を、指摘している。
これは面白い指摘で、政治信条の左右の関係なく、事務能力が高さこそが、政治信条を達成できるのではないかと思った。 この話を聞いて思い出したのは、オバマ大統領が大統領選を戦った際に、データ分析チームを率いたという記事だ。
米国大統領選挙におけるビッグデータ活用:『ビジネス2.0』の視点:オルタナティブ・ブログ
特に面白いのは、データ分析チームにデータ分析の専門家だけでなく、データベースエンジニアやデータベース管理者がいる点だ。彼らがいるおかげで、データ分析もスムーズに行えたはずだ。ただデータ分析のチームを単に組織しだだけでは上手く行かないので、彼らのデータ分析の知見をきちんと行かせた実務者が付いていることを示している。
一方でサヨクは、データ分析のエンジニアを組織できるだろうか?組織できたとして彼らの知見を戦略に組み込めるだろうか?
私たちは、政治信条では右翼、左翼と言いがちだがそれとは別に、彼らがどのようにプロジェクトマネージメントを行なっているかという点を考えてみると良いかも知れない。
はてなブックマークでは、資金力の差を嘆くコメントが多かったが、それならば、資金力の差を埋めるべく、ITを活用しなければならないのに、当のサヨクの側にそれを活用しようと言う意識は無いように見える。
(非営利組織の為の)プロジェクトマネージメントを支えるIT
プロジェクトマネージメントとはなんだろうか?チームを組んでプロジェクトを前進めてゴールに到達させるの能力のことだ。 プロジェクトを進める上で計画が予定通り行かないことなどしょっちゅうだ。そのため、進捗の確認、プロジェクトの振り返り、スコープの再設定、ゴールの再定義などが常に必要になる。 また、ノウハウの共有や、チームメンバー間の活発なコミュニケーションも必要になる。
プロジェクトマネージメントに必要なモノを書き出してみよう。
- タスクの管理
- 進捗の管理
- チームの活発なコミュニケーション
- ノウハウの共有 などだ。
それぞれに、安価だったり、無料だったりするツールがあるので紹介する。
例えば、
などを組み合わせることで、資金力が乏しくても、プロジェクトを遂行することが出来る。
torello
例えばtorelloというツールがある。 Trello webベースで手軽にTODOを管理できる。最も適した用途が、トヨタのかんばん方式だ。
トヨタのかんばん方式とは、このブログにあるように、TODOをやること・進行中・完了に分けて、順次実行していく形式のことだ。誰にも進捗がわかりやすく、作業量の見積もりもし易い。
トヨタかんばん方式を我が家でも | まおちゃんが作ってユキが食べる
torelloは、そのカンバン方式をwebで共有できるシステムだ。todoを書いていき、順次、進行中、完了へと動かして行く。
小さめのプロジェクトであれば、こちらをToDoリスト代わりに使えば、効率的に作業の割り振りや進捗管理、作業量全体の見積もりが出来るだろう。 一日中、PCの前に居ないというなら、torelloはiPhone向けのアプリがある。
redmine
redmineも、上に挙げたtorelloと同じ様なwebベースのプロジェクト管理ツールだ、torelloとの違いは
- より大きな粒度のプロジェクトマネージメント(マイルストーンやロードマップなど)の設定が出来る
- チケット単位でプロジェクトの進捗を管理できる
- wikiが付いており、議事録や過去の行事のwikifyを通して、ノウハウの共有や議事の共有が出来る。
という利点がある。特にノウハウの共有は強力だ。共有PC一台に、ワードファイルを共有しているので、私達のノウハウ共有は完璧だとおっしゃる御仁もいるだろうが、それは検索が容易だろうか?どこからも見ることが出来るだろうか?
slack
最後のコミュニケーションツールの紹介を行なう。 slackはチャットツールだ。
メンバー同士で会話も出来るし、用途ごとに部屋を作ることも容易だ。skypeやLINEでも良いと思われるかもしれないが、更に良いのは、botとの連携だ。自分たちに言及した記事を自動的におしらせしたり、例えば、署名が目標の人数に達するまでカウントダウンをしたりといった機能を手軽に作ることが出来る。つまり、単に会話を行なうだけでは無く、情報のハブになることが出来る。 一日中、PCの前に居ないというなら、slackはiPhone向けのアプリがある。
資金が乏しいからこそ、ITを活用しよう。
これらのツールは、IT系のベンチャーがよく使っているツールだ。ITベンチャーも資金が乏しい、資金は乏しいが彼らは、その乏しい分をITを活用を考えたり、工夫をすることで乗り切っている。 日本会議に比べて、資金が乏しいなら乏しいなりに、ITを活用するなりして、負けない戦い方をすべきで、単に資金力が違うと不満を述べても大した意味は無い。
そのた、プロジェクトマネージメントで役立つこと
- KPTの実行
KPTとは、Keep/Problem/Tryの略で、日本では振り返りと訳されることが多い。単なる反省会ではなく、次も継続して行うことの列挙や、問題を人ではなくコトに当てはめて、その解決案も考える点で、反省会とは異なっている。期間を区切って定期的にKPTを行なうことで、チームメンバーの意見の齟齬やビジョンの違い、コミュニケーションの齟齬を見つけ出すことが出来るし、メンバーの不満も解消させやすい。
非営利組織こそ、プロジェクトマネージメントを
プロジェクトマネージメントのツールを紹介してきた。左翼にしろ、右翼にしろ、政治信条をベースにした活動は、とかく「正しいことをやっている」という意識が出やすい。だから自分たちは何もやり方を変えなくて良いと違う風に考えてしまう。でも正しいことをやっているかと、プロジェクトを推進出来るかとか事務処理能力が高いかとかは全然関係ない。
むしろ、資金力がないなら、なおのこと、プロジェクト推進するために、利用できるものは何でも利用し、自分たちの仕事の仕方自体も常に見直していく必要があるのかも知れない。
その他、ソフトウェアの内製について
菅野さんの記事に気になる箇所がある
肝心の署名用紙は、フロアーにそのまま裸積みされる始末。あの一シーンからは、「だらしなさ」を強烈に感じた。
これ、名簿のデジタル化をやらないと次に繋げられない。OCRでも読み込めるが、数が多くなると効率的に読み込んで、効率的に誤りを補正した後、データベースに保存しないと使い物にならない。そういう専門のソフトウェアエンジニアを内部に抱え込めれば、OCRから読み取る、上手く読み取れなかった部分を人力で補正、住所の正規化名寄せなどを行う。などして、使えるものになるのになって思った。 なかなか政治団体は、ソフトウェアエンジニアを抱え込めないし、活用も出来ないな。